《テト》T・10

「思い出せない」

 テトとルッカとのシンクロ率が上がってきます。
 時計が入れ替わったことによる弊害です。
 徐々に自分の記憶がなくなり、ルッカそのものへ変化してゆくテト。
 これ、ちょっと怖いですよね。
 自分の知らない間に、自分が他の何者かに変わっていくなんて。
 最後に出てくる「***」の部分には、もちろんミランの名前が入ります。

 月の世界の描写は…一所懸命にひねり出したにしては、設定が生かしきれませんでした。
 残念というか悔しいです。
 徹底的に管理され、それのもたらす快適さに馴染んだ世界。
 そんなイメージで作り上げました。


「脱走」

 テト、突然の脱走です。
 展開が急すぎますね(笑)
 実はこの頃、長々と物語を書き続けることに迷いが生じていました。
 無駄…だよな、と。
 だらだらと長くなるだけなら、それは本当に無駄以外の何物でもありません。
 自分は楽しんで書いている。だけどそれは自己満足。
 読んでいる人は途中で飽きてしまうんじゃないか、というか、
 既に誰も読んでなかったりして……
 そんな思いが頭を過り、さっさと物語を進めようとした結果です。
 それにしたって、これは急すぎるだろうと自分でも反省しますが。

 この回のラストで、とうとうテトは
 自分の名前は「ルッカ」であると認識してしまいます。

 『忘れるな 汝が真名を』

 という警句を覚えておいででしょうか。
 自らの名前を手放したテトは、さらに混乱の世界へと足を踏み入れていきます。


「ひとりぼっちの探索」

 うわぁ、大変。記入洩れがありました。
 慌てて追加訂正。気付かなくてすいませんでした。

 この回は、結構お気に入りです。
 知らない街を探検するのって、わくわくしますよね。
 シエスタの設定も好きです。

 環境もすべてコンピュータによって管理されている月の世界では、
 雨はこのシエスタの間にまとめて降ります。
 なので、普段出歩いている時に傘の心配をする必要はありません!
 なんて素敵な世界。
 雨だれの音を聞きながら毎日お昼寝できるなんて、羨ましい限りです(笑)


「チューブ」

 「入ってもいいかな?」
 そう声に出してつぶやいてみるのは、ほんのちょっぴり良心が咎めるからで、実は入る気満々だったりする。

 ここ、好きです(笑)
 テトの性格がにじみ出てますね〜。
 朔の中でテトは、何事にも無防備なほどまっすぐ飛び込んで行く子です。
 ムーンやミランは、びくびくしながらも置いて行かれるのが怖くて、結局ついていくタイプ。
 どっちか得な性分かは判りませんが。
 
 
「帰りたい」

 テトの持っていた切符。
 お気付きの方も多いでしょうが、『銀河鉄道の夜』『銀河鉄道999』を踏まえています。
 どこまでも行ける、どこでも好きな処で乗降できる便利な切符です。
 でもテトは、それがどうして自分の手元にあるのか思い出せません。
 自分自身の記憶と、ルッカとしての記憶と。
 両者がテトの中でせめぎ合っています。

 ここで唐突に、ドォムや今の月の世界の状況について説明が入ります。
 これまた、展開を急ぎすぎてしまいました。反省。
 地下のドォム内で生活していることは「思い出せない」でも少し触れています。

 皇女としての、輝夜の存在意義。
 月の女神の化身とされる「皇女」。
 その存在は、月の世界の秩序を守る役割を果たします。
 すべてがコンピュータ管理されているはずなのに、輝夜の感情が環境を左右します。
 
 これらの設定は、この辺りで捏造しました。
 こんなことするから、話がどんどん下降線を辿っていくのですね。
 朔の考えなしのせいで、お話はどんどん暗く破壊的な世界へと突き進んでいます。
 輝夜…書いてて自分でも落ち込むキャラクターでした……。
 惨敗。