《テト》T・13

「月の皇女」

 《テト》7輝夜、はそれまでの無計画性が祟って、
 慌てて物語を補強するために書いた章です。
 身も蓋もない……。

 テトの視点だけでは、輝夜が何を思ってるのかさっぱりですからね。
 そもそも朔が話を急いだせいで招いた結果ですが。
 
 学生時代に竹取物語の冒頭を暗唱した経験は、誰でもあるんじゃないでしょうか。
  今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ……
  ……三寸(でしたっけ?)ばかりなる人、いとうつくしゅうて居たり。
 朔も例にもれず暗唱しました。
 でも朔が一番気に入っていたのは、かぐや姫が月に還っていく場面です。
  月の出でたらん夜は見おこせ給へ。見捨て奉りてまかる、空よりも落ちぬべき心地する。
 とかナントカ。

 そんな涙涙の別れをするかぐや姫ですが、輝夜は結構あっさり別れてます(笑)
 育ててくれた恩はあるけれど、なんてドライなヤツです。
 

「密航者騒ぎ」

 テトが月に来た翌日を、輝夜視点で繰り返してます。
 5−Yの辺りです。

 ムーンは、テトがそんなに遠くまで行くとは思わなかった、と言いますが、
 テトの行動範囲はそれはそれは広いのです。
 知らないところだって、へっちゃらでひとりで飛び込んでいきます。

 テト、カッコいいなぁ(笑)


「希望」

 6−Uの辺りです。
 輝夜のもとにムーンに連れられたテトがやって来ます。

 輝夜の精神安定具合とドォムの環境のつながりを上手く説明できなくて、
 同じようなことをぐるぐると書きなぐってます。
 どんなに言葉を重ねても、同じような説明しかできていないところが反省です。

 もっと上手く…なりたいなぁ。

 
「絶望」

 はい。もう言うコトはありません。
 急転直下。
 輝夜は最後の望みを手放し、月の世界は崩壊に進みます。

 ずっとギリギリのところで頑張ってきた輝夜。
 とうとう針が振り切れてしまったんですね。

 合掌。 


「黒の世界」

 ノインの誘惑は、死への誘いです。
 たぶん、それはとても抗いがたく甘美なものなんだろうなぁ、
 と思い、書いてました。
 アレですね、冬の朝に二度寝の誘惑に負けてしまう、みたいな(笑)

 輝夜の胸が痛むのは、良心からです。
 月の世界の人々を見捨てようとしている自分が許せなくて、胸が痛みを訴えます。

 でもその意識も保てなくなり、輝夜をカタチ作っていたものは
 ほろほろと闇に解けはじめます。

 完全に自我がなくなった時。
 それが、ノインに完全に取り込まれた時です。