《テト》U 5

夕 〜シオ〜

 来場者1万人超を記念して作った7話のうちの1つです。
 本当は期間限定公開の作品だったのですが、それだとセルヴィエの初出が隠れてしまうので、復活させました。

 画像はヴェニスです。

 7話の記念作品はすべて画像とリンクし、画像から想起されるシチュエーションを基に作られました。

 さて今回のお話の核はもちろんシオの「夜の貌」。
 学校では誰も知らない、シオがティッツィ座、そして特定の客の前でだけ見せる貌です。

 ここに出てくるグレンシャー婦人やゲートルート卿というのは、歌劇場へのお客様であると同時に、半ばシオに会うことを楽しみに劇場に通っているという富裕層の人達です。
 彼女彼らにしてみれば、シオは目に入れても痛くない孫のような存在――寂しさや有り余る金を注ぎ込める愛玩用の子供といった感じです。
 そう読み取ってもらえたら良いのですけど。
 もちろんシオもそれを分かっていて、ことさら行儀良く控えめでありながら甘えるような態度で接しています。
 もう少しシオの年齢が上で顧客たちの年齢が下だったら、援助交際と見なされたかもしれません(^-^;)
 まぁ、そういうスレスレ作品だったから、敢えて期間限定公開にしていたのですが……。

 そしてセルヴィエ。
 シオの唯一の理解者にして、シオが唯一心を完全に開くことの出来る相手です。
 シオの顧客遊びを知る唯一の人物として、甥っ子の行く末を心配しています。

 いつもの優等生な仮面の下でシオが欲しているのは、温かいキス、たったそれだけなのかもしれません。
 

2006/8/5  16:24