「神無月の頃 13」
小舟が探している鍵。
それは小舟と、秀一の父である聡佑にまつわる鍵です。
事情を知らない秀一に向かって、小舟は鍵が見付からないと訴えます。
なぜどこで小舟が鍵をなくしたのか、
そでがどうして守屋の庭から出てきたのか。
それらは、外伝をお読み下さい(笑)
「神無月の頃 14」
ぐるぐると廻る秀一の思考。
なぜか。
それは、それを書いている朔の頭の中がぐるぐるしていたからです(笑)
ぐるぐるぐるぐる、答えのでない問いが頭の中に渦巻いています。
一体ヒトはどうして誰かを好きになるのか、
一体なぜヒトは生まれて死ぬのか、
そんな問いに答えがでるはずないじゃないですか!
それらを問われた時、
その場その場で、その時の素直な気持ちを答えるしかないと思います。
完璧な答えなんて、希めない。
そうじゃないですか?
少なくとも朔はそう思うので、
秀一には朔の問い掛けのままにぐるぐると頭を悩ませてもらってます。
病院を訪れた秀一は、消毒液の匂いや白い色は排他性の象徴であると言います。
病院という処は、誰しも一度は自分の死と向き合わざるを得ない場所なのでは、
と思い、そう書きました。
大きな総合病院の雰囲気は、あんまり好きじゃないなぁ。
いつでも一体は、遺体が置かれてるような気がして……
相次いで家族を失ってきた秀一は、
それまであまり「死」というものに正面から向き合ってきませんでした。
あまりに身近にありすぎたために、かえってスルーしてしまったのかもしれません。
自分の身内のことなのに、どこか他人事のように受け止めていました。
それが今になって、ひとりで向かい合うことになり、
秀一はその深さ暗さに打ちのめされます。
「神無月の頃 15」
まったく本筋には関係ありませんが、点滴してると、手が冷えて困るんですよ。
朔の場合血管が細いらしく、普通の人が数時間で終わるはずの点滴を半日がかりで打ち、
その間、あまりの冷たさに手首は痛むわ、腕の筋肉が硬直して痛むわで最悪です。
夜中にナースコールし、看護婦さんに筋肉マッサージしてもらったこともあります。
あの手首の痛さ……経験した人にしか解んないだろうなぁ。
上海で入院した時は、手の甲に針を刺されてびっくりしました。
あんまり日本では手の甲には刺しませんよね?
勝手に点滴を抜いたら、血が止まらなくなった……というのも、体験談です(笑)
だって、夜中に点滴が終わっても誰も来てくれなかったんです!
上海だったから、言葉の壁もあったし……。
もしこのままチューブの中の空気が血管の中に入ったら……と思ったら、思わず抜いてました。
そうしたら予想以上の出血にびっくり。
自分では正視すらできなくて、付き添ってくれたおねーさんに止血してもらいました……。
大好きです、R子さん!! 謝謝!
さて話を戻しまして。
秀一は溜まりに溜まった弱音を一気に吐き出します。
そして笹峰はそんな秀一に、人は生きているから孤独なのだと告げます。
笹峰の台詞を書いているのは朔なわけで、彼にそう言わしめるのも朔なのですが…
この台詞は、笹峰が自分で勝手にしゃべった台詞だったような気がします。
笹峰の言わんとしているところの本当の意味は、朔にもよくわかりません。
空は再び泣きはじめ、雨がふたりを包みます。
雨の中を歩く笹峰の背中を見て秀一は、歩み寄りたいと願うわけですが、笹峰の背中はそれを拒否しています。
寄り添うことだけが、友情じゃない。
互いに弱みを曝け出すだけでは、ただ甘えていることと同じ。
対等に、もたれあうのではなく、互いを成長させていくために。
時に自分を映す鏡として。
笹峰の友人に対する信念みたいなものです(笑)
だけどそれは、誰かに傷つけられないように、人との深い関わりを避けているのも同じこと。
馴れ合いを好まないことを強さと考える笹峰と、人との関わりを嫌うことを淋しいことだと感じる秀一と。
どちらが悪いとかではなく、ただこういう2人を書きたかっただけなのでした(笑)
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